【プロに聞く!】「今忙しいですもんね、って言わるのが本当に辛いんですよね。」父親とプロゲーマーの顔を持つボンちゃん選手の素顔に迫る!インタビュー 後編
Red Bull Athletes(レッドブルアスリート)ボンちゃん選手への「esports press / ESPORTS侍NEWS」合同インタビュー後編。
前半では「esports press」が、ストリートファイターVのプロツアー「Capcom Pro Tour 2019(CPT)」の話や、「EVO」優勝など競技シーンに纏わる話を伺いました。
後半「ESPORTS侍NEWS」ではボンちゃん選手のプロゲーマーとしての素顔に迫ってみました。プロ意識に関する話から、双子のパパになってからの生活など様々な話を聞くことができました!
【前半の記事はこちらをクリック!】
-プロゲーマーになった経緯やバックボーンを教えてください。
元々はゲームセンターで格闘ゲームを遊ぶのが趣味といったところから始まって、前作「ストリートファイターⅣ(ストⅣ)」の時代に、アーケードで遊んでいたら、たまたま強くなることができて、今でいうトッププレイヤーと言われる人たちと互角に戦っていたんですが、一番影響を受けたのは「ときど選手」でしたね。
「ウメハラ選手」「ときど選手」「マゴ選手」がいち早くプロゲーマーとして活躍していたと思うんですけど、その中で「ときど選手」の練習相手として週に1、2回呼ばれていたんですよね。
その時、「ときど選手」の練習風景を見るわけなんですけど、すっとゲームをやってるんですよね。スケジュール12時間練習みたいな(笑)。
当時プロゲーマーって言っても、そこまで認知度が高くなくてレアな存在だったんですけど、「ときど選手」の練習を見ていた時にプロとして職業にできるだろうなってぐらい真剣に取り組んでいましたし、目指す価値のあるものだと見ていて思いましたね。
あとは自分もなれるだろうなって感覚はありました。
今プロとして活動しているプレイヤー達に勝てる自信もあったので、そこがあったからチャレンジしてみようと思ったのがきっかけですね。
-数あるタイトルで「ストリートファイター」を選んだ理由はなんでしょうか。
そこは「ウメハラ選手」の影響ですかね。
以前ウメさん(ウメハラ選手)と雀荘で一緒に働いていた時に、同じゲームをやりたいなって思いがあって、昔のゲームではちょこちょこやっていたりはしてたんですけど、今出てるゲームでもやりたいなって思ってたところで、当時ウメさん(ウメハラ選手)はゲームやめてたんですけど、「ストⅣ」で復活したんですよ。
そのとき「豊田さん※」に「ウメさん(ウメハラ選手)がストⅣで復活したから、やってみようぜ」って言われたのがきっかけですね。人口も多かったですし、対人でプレイできる環境が整っていたので、自然と人が多いところに身を置くって形でしたね。
※格闘ゲームイベント運営会社「TOPANGA」の代表
-プロゲーマーとして1日の生活スタイルを教えてください。
大会の期間中とオフの期間中で全く変わってくるんですけど、本当にここ最近の話でいうと、僕のところに子供が生まれたんですけど、半端ないスケジュールになってます(笑)。
「よく1日何時間練習するんですか?」ってファンの方に聞かれたりするんですけど、1時間もやれてないって日があったりするんですよ。
ただ、「Capcom Cup」前だけは1週間だけしっかり練習させてもらいましたね。
奥さんは練習してほしいって思ってると思うんですけど、僕が気になってしまうんですよね。声とか聞こえると居ても立っても居られなくなっちゃうんです(笑)
今3時間に1回ミルクが必要で、それが8回あるのでそれが基盤になっていますね(笑)。普段だと大体6時間ぐらいゲームして、その後余裕あれば動画を見て勉強したり、オフラインで集まりがある場合はいけるときにいって5、6時間プレイしたりしますね。
-双子の父としてパパゲーマーになりましたが、やはり以前とは心持ちなど違う部分があるのでしょうか。
全然違いますね。
僕自身、体調が悪い時は絶対格ゲーをやらないって姿勢でいるんですよ。なぜならパフォーマンスが落ちますし、ストレスが溜まってしまうんですよ。
ただ今ってフラフラになりながらゲームを起動してるんですよね。
眠くても今しかできないので。明らかに子供が出来てから今の生活水準やサイクルが変わっていっているのもありますし、手探りの状況ですね。
子供の顔を見ないと落ち着かないっていうのもありますし、子供に入れ込んじゃってる部分は大いにありますね。
-もし子供がプロゲーマーになりたいって言ったらどうされますか。
「やめといてよ~」っていいますね(笑)。
ただ、子供がプロゲーマーになりたいって言うときに、今でいうメジャースポーツと同じくらい目指すことが自然な環境に、市場として大きくなっているんだったら素直に応援できるんじゃないですかね。
現状、親としては「もうちょっといいところあるんじゃない?」って言ってしまうかもしれません(笑)。
-収入はどのように得てるのでしょうか。
基本的にはスポンサーから頂く契約金、大会で得た賞金、配信やゲストなどの出演料ですね 。
-プロ選手になる前となった後で一番変わったと思うことはなんでしょうか。
プロになると何事も自分自身だけの問題ではなくなってくると思っていますね。
支援してくださる方やチームがいるので、軽はずみな行動はできないな、と肝に銘じていますね。人に見られる覚悟というか責任感は出ます。
プロになることによって祝福してもらうことも多くて、それによって応援してくれる人も増えていて、今オフラインのイベントよく行なってファンの方と話させていただくことも多いんですけど、そうした祝福の言葉をいただいたりするので、本当にありがたいですね。
-自身メインのオフ会(Bonchan’s Road Trip)開いてファンとの交流を深めているのが印象的ですが、開催したきっかけはなんでしょうか。
Red Bullから「何かやりたいことない?」って言われたのがきっかけですね。
今でこそ「ストリートファイターV」のアーケード版が出ましたけど、当時はなかったんですよ。
自分はアーケードで育った人間で、ゲームセンターでいろんな人と喋りながらゲームをプレイする環境が好きだったので、そこをRed Bullに伝えた翌年には始まりましたね。
-プロゲーマーになってから、モチベーションが下がることってありましたか。
そりゃありますよ(笑)。
ただそこは、各々ゲーム以外の部分で補っていく部分ですし、リフレッシュするのも大事だと思いますね。
体も疲れやすくなったりしてるのでマッサージや整体に行ったりして、体のケアしたり、奥さんと出かけてリフレッシュするようにしていますね。
-結果が出ない時に何か特別にすることはありますか。
結果が出てる時と出てない時で取り組み自体をそんなには変えないんですよ。というのも、「この取り組み方で間違いない」って自分の中で確信があるので。
結果というのは明らかに短編的なものでしかなくて、正直どうでもいいんですよ、僕からすると。
負けたとか勝ったとかっていうのは本当に結果論でしかないので、それよりも実力が付いてるのかって方が圧倒的に大事で、勝ってる時の自分を思い返してみても取り組み自体は変わってないんですよ。
なんなら今年練習量は減ったかなぐらいだったんですけど、ちゃんと結果が出てましたね。リフレッシュはしたりしますが、不調時に特別何か取り組みを変えるといったことはしないですね。
-プロとして活動する上で意識していることはありますか。
昔から思ってることですが、嘘はつきたくないと思ってます。
なので誰に対しても本音で接するっていうのはありますね。みなさんが思ってる理想と違ったとしても、作ってる姿で自分を見せ続けるってストレスがたまるんですよ。
だったらありのままの自分のことを好きな人を大事にしようってスタンスの方が楽でしたし、今でもそうなんですよ。
合わない人は絶対生まれますし、みんなに好かれようと思ったことはありません。その代わり、応援してくれる人に対しては全力で応えようと常に思っていますね。
-最後に2020年の抱負を聞かせてください。
毎年「EVO」と「Capcom Cup」の優勝というのは掲げてるところではあって、今年は運よく「EVO」で勝つことができたので、次は「Capcom Cup」の優勝が最大の目標になりましたね。
1年を通して言うと、やっぱり子供が出来たので練習の取り組み方や時間の使い方を考えなければならないなと思っていますね。
凄く嫌なのが忙しいと思われてしまうことなんですよね。
勝ててない時に「今忙しいですもんね。」って言わるのが本当に辛いんですよね。もちろんそう思われてもしょうがないとは思うんですけど、だからこそ、来年はそう思われない結果を出さなければいけないなと思っていますね。
再来年は勝たなくてもいいから、来年だけは絶対に勝ちたいと思っています。
育児をしながら、日々の練習や世界大会へ参加して結果を残すことは決して簡単なことではありません。
ひたむきに、だけどもあくまで冷静で客観的に、自身のメンタルや環境の対応していくボンちゃん選手の適応能力とメンタルコントロールは、ゲームだけではない、私たちの生活にも応用できそうです…!
そして!今回はプレゼント企画も用意しています!
応募方法や、期限については追って報告しますので、是非Twitter(@essnjp)のフォローをよろしくお願いします!
それではまた次回の記事でお会いしましょう!