「EVO Japan 2019」Day3レポート!決勝トーナメントへ駒を進めた猛者たちの激戦のゆくえは!?

REPORT

2019年2月15日(金)から17日(日)の3日間に渡って、福岡・福岡国際センター(Fukuoka Convention Center)にて開催された国内最大級の格闘ゲームの祭典「EVO Japan 2019」(Evolution Championship Seriese: Japan 2019)に参加してきました。

前回のレポートでは、来場者を楽しませていた協賛企業ブースをいろいろな写真と一緒にご紹介しましたが、今回のレポートでは、「EVO Japan 2019」で採用されたさまざまな格闘ゲームタイトルのご紹介と、主に大会3日目の2月17日(日)に開催されたメイントーナメントタイトルの勝敗の模様をお伝えしたいと想います。

そもそも「EVO Japan」とは何なのか?ということは前回のレポートで簡単にご説明していますので、そちらをご覧くださいね!

今回の「EVO Japan」ではメイントーナメントタイトルとして、6つの有名格闘ゲームが名を連ねました。
その賞金総額はなんと1,000万円!国内でも人気の高い『ストリートファイターV アーケードエディション』『鉄拳7』の優勝者にはそれぞれ150万円の賞金が与えられます。

「EVO Japan 2019」に出場するためには事前の参加登録が必要となりますが、腕に覚えがある格闘ゲーマーにとっては夢のある大会ですね!

「EVO Japan 2019」で採用された格闘ゲームのご紹介

THE KING OF FIGHTERS XIV

引用元:THE KING OF FIGHTERS XIV STEAM EDITION(PC版

『THE KING OF FIGHTERS XIV』(以下、KOF)は1994年に誕生したSNKの対戦格闘ゲーム。最大の特徴はシリーズ伝統となっている「3on3(3人一組)チームバトル」で、現在『ドラゴンボールファイターズ』など数々の格闘ゲームでも採用されているチームバトルの先駆けとなったタイトルです。

14番目のナンバリングタイトルとなる本作では、グラフィックが従来の2Dから3Dへと一新され、またゲームシステムも連続コンボなどが簡単に繰り出せる「RUSH」などが搭載されたことで、すぐに楽しめるシンプルさが特徴となり、これまで以上に爽快感のある戦いが実現されているそうです。

SOULCALIBUR VI

引用元:SOULCALIBUR VI(PC版)

『SOULCALIBUR VI』は、バンダイナムコエンターテインメントの3D対戦格闘ゲーム『ソウルキャリバー』シリーズの20周年記念作品で、前作から6年ぶりのナンバリングタイトルです。剣をはじめとした武器による対戦が最大の特徴となっています。
充実したキャラクタークリエイション(デザインやモーション)にも定評があり、対戦を観戦しているだけでも世界観に引き込まれていきます。

BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE

引用元:BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE(公式

『BLAZBLUE』(『ブレイブルー』と読みます)は、アークシステムワークスの2D対戦格闘ゲームシリーズです。『BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE』はシリーズ10周年記念タイトルとなっています。
その名の通り、プレイヤーが任意のキャラクターを選択してチームを組める「2on2」のタッグバトルを採用していて、そのタッグバトルならではの戦略性が最大の特徴となっています。

GUILTY GEAR Xrd REV 2

引用元:GUILTY GEAR Xrd REV 2 Upgrade(PC版)

『GUILTY GEAR Xrd REV 2』(『ギルティギア イグザード レヴツー』と読みます)は、アークシステムワークスが1998年から製作を行っている2D対戦格闘ゲーム『GUILTY GEAR』シリーズのいちタイトルで2017年にリリースされています。
キャラクターを前面に押し出したファンタジー系のストーリーライン、派手なビジュアル、痛快なコンボシステム、ハードロック・メタル調のBGMなど、それまでの格闘ゲームには見られなかった要素を含むことでファンを獲得してきました。
「日本人選手が強い」タイトルとしても知られており、昨年8月にアメリカ・ラスベガスで開催された本家「EVO 2018」でもTOP8のうち優勝したおみと選手を含む7名が日本人選手となっています。

鉄拳7

引用元:TEKKEN 7(PC版)

累計販売本数4,700万本を誇り、国内でもファンの多いバンダイナムコエンターテイメントの3D対戦格闘ゲーム『鉄拳』シリーズの最新作で、2015年にリリースされたナンバリングタイトル7作目が『鉄拳7』です。
緻密かつダイナミックな操作感に加え、視覚的にもわかりやすい派手な演出が繰り広げられ、観戦するのもとても楽しいタイトルです。国内はもちろん、世界中にファンが多く、特に韓国選手の活躍がよく目立ちます。その様は「鉄拳修羅の国」とも評されています。

ストリートファイターV アーケードエディション

引用元:Street Fighter V(PC版)

1987年にカプコンから発売された『ストリートファイター』を起源とする対戦格闘ゲーム。『ストリートファイターⅡ』は1990年代に対戦格闘ゲームの大ブームを巻き起こしました格闘ゲームの金字塔的存在です。
『ストリートファイターV』はその最新作として2016年に発売され、2018年1月の大型アップデートで『ストリートファイターV アーケードエディション』へと進化しました。
「昇龍拳」「波動拳」などの超有名必殺技や、それらを操る「リュウ」「ケン」などのキャラクターは格闘ゲームファンでなくても知っている人が多いのではないでしょうか?
現在国内のeスポーツシーンを牽引するプロゲーマーである、ウメハラ選手、ときど選手らもこの『ストリートファイター』シリーズをメインでプレイする選手です。

「ダブルエリミネーション方式」って何?『EVO Japan 2019』のトーナメント形式について

『EVO Japan 2019』は、国内外問わず誰でも参加が可能なオープントーナメントとなっていて、その試合形式は「ダブルエリミネーション方式」です。
格闘ゲームに限らず、eスポーツの試合で耳にする機会の多い「ダブルエリミネーション方式」という言葉ですが、どういう意味なのでしょう?

一言で言うと、2敗した時点で敗退となるトーナメント方式のことです。対して1度負けたらそこで敗退となるのが「シングルイリミネーション方式」。

『EVO Japan 2019』では各選手はウィナーズサイドからスタートし、一度負けるとルーザーズサイドへと移動。そこで負けると敗退となります。
決勝戦ではウィナーズサイドから勝ち上がった選手とルーザーズサイドから勝ち上がった選手が試合を行い、ウィナーズサイドの選手は1回勝利すれば優勝となります。一方で、ルーザーズサイドの選手が優勝するためには、2回続けて勝利する必要があります。

一度敗退しても引き続きチャンスがあるため、組合せによる有利不利を軽減することができるのがメリットですね。

ビーチバレーやボウリング、ビリヤードなどでも採用されることが多いトーナメント方式だそうですよ。

BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE

引用元:トーナメント管理サイト「Challonge」 BlazBlue: Cross Tag Battle

・ウィナーズ
HIDE(日本)
Tomo/relo(日本)
alcormakkos(日本)
今日のアントルメ(日本)

・ルーザーズ
シゲ(日本)
ピザマヨ(日本)
Noble(日本)
剛田(日本)

決勝トーナメントへ進出したのがすべて日本人選手『BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE』部門、優勝は富山を拠点とするeスポーツチームTSURUGIに所属するTomo/relo選手(@TMRossoFantasma)。

トロフィーを手にするTomo/relo選手(中央)

「本当に感無量。いろいろな人に応援してもらうことができて力をもらったので、その方たちに感謝したい。これからも勝っていきたい。賞金50万円は、やりたいゲームを買うために使いたい。」

GUILTY GEAR Xrd REV 2

引用元:Challonge – Guilty Gear Xrd Rev 2

・ウィナーズ
ちゃちゃちゃ(日本)
T5M7(日本)
まちゃぼー(日本)
サミット(日本)

・ルーザーズ
310venom(日本)
ナゲ(日本)
SOorXTC(日本)
LOX(日本)

『BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE』同様、決勝トーナメントへ進出したのがすべて日本人選手という『GUILTY GEAR Xrd REV 2』部門。ちゃちゃちゃ選手との決勝戦を制し優勝したのはWalker Gaming所属のサミット選手(@summit812)。

サミット選手(中央)

「決勝戦が本当にすごい試合で、心臓が何回とまりそうになったかわからない。いまは感動以外見当たらない、本当にありがとうございました!『GUILTY GEAR Xrd REV 2』はスピード感と一瞬一瞬の状況判断、プレイヤー次第でどこまでもその力を伸ばせることが一番の魅力です。」
福岡で『ギルティギア』シリーズを始めたサミット選手の元には、地元の仲間も応援に集っていたそうです。

鉄拳7

引用元:Challonge – Tekken 7

・ウィナーズ
CherryBerryMango(韓国)
Destiny(韓国)
AK(フィリピン)
Jimmyjtran(アメリカ)

・ルーザーズ
Arslan_Ash(パキスタン)
WALKER Book(タイ)
SAINT(韓国)
chikurin(日本)

決勝トーナメントに先駆けて、『鉄拳』シリーズ総合プロデューサーの原田勝弘氏が登壇しました。海外ドラマの「ウォーキング・デッド」ファンであれば知らない人はいない名物キャラ「ニーガン」の追加配信日について情報が公開されました。「ニーガン」のキャラクターボイスはドラマの俳優ジェフリー・ディーン・モーガン氏により本作のために録り下ろされたものだと明かされ、会場が大いに盛り上がりました。

ニーガンのコスプレをしていた方が一番大きな声援を送っていました

肝心のトーナメントでは「鉄拳修羅の国」韓国から3名が決勝トーナメントに進出。そのほかタイ、フィリピン、パキスタン、アメリカ、日本から1名づつが決勝トーナメントへ進出し、今大会最も国際色豊かな決勝トーナメントとなりました。
日本勢として唯一決勝トーナメントに駒を進めたchikurin選手には会場中から惜しみない声援が送られましたが、ルーザーズ準決勝で、パキスタンのArslan_Ash選手(@ArslanAsh95)に惜敗。
『鉄拳』の公式大会では過去10年間に渡り日本または韓国選手以外の優勝者が輩出されていないという状況の中、決勝戦に駒を進めたのは、フィリピンの神童、18歳のAK選手と、圧倒的な反応速度と鉄壁の防御力を誇るパキスタンのArslan_Ash選手でした。注目の対戦はルーザーズサイドから勝ち上がったArslan_Ash選手がAK選手の怒涛の攻撃を弾き返し、逆転優勝を飾りました。

Ash選手(中央)

「EVO Japan 2018」優勝の栄誉と、賞金150万円を獲得したArslan_Ash選手は、
「まるで世界の王者になったような気分です。はじめての「EVO Japan」、決勝戦を戦ったAK選手は素晴らしい選手だったし、この大会を通して素晴らしい世界中の選手と戦えたことを誇らしく思います。」と語りました。

ストリートファイターV アーケードエディション

引用元:Challonge – Street Fighter V: Arcade Edition

・ウィナーズ
ジョビン(日本)
パウウェル(日本)
ももち(日本)
ネモ(日本)

・ルーザーズ
Oil King(台湾)
Punk(アメリカ)
ふ~ど(日本)
クラッシャー(日本)

Cygames Beast所属のふ~ど選手、Team Liquid所属のネモ選手など、有名日本人選手が決勝トーナメントに進出した一方、DetonatioN Gaming所属で昨年の「Capcom Cup 2018(※)」で準優勝した板橋ザンギエフ選手や、「EVO 2017」での『ストリートファイターV』の覇者、ときど選手が予選敗退するなど、波乱の展開となりました。
タイムテーブルよりも1時間ほどおして決勝トーナメントがはじまりましたが、会場内はこの日一番の観客数。期待値の高さが見て取れます。

※「Capcom Cup 2018」は、1年間を通して実施されてきた「Capcom Pro Tour」認定大会の成績を元に出場選手が選ばれる『ストリートファイターV アーケードエディション』の年間世界王者を決める公式世界大会。

緒戦、ウィナーズTOP8では、よしもとゲーミングのジョビン選手とパウウェル選手が対戦。試合のペースを支配したパウウェル選手がジョビン選手を圧倒しました。ウィナーズTOP8のもう一試合では、ももち選手(@momochi212)とネモ選手が対戦。忍者の家系を先祖に持つというももち選手が操る忍者キャラの「是空」がネモ選手の「ユリアン」に対して必殺コンボを決めまくり、ももち選手の勝利。

続いてルーザーズTOP8では、台湾のOil King選手とアメリカのPunk選手が対戦。今回の決勝トーナメントで唯一の海外勢同士のマッチアップとなりました。Oil King選手のトレードマークは美脚(!)ハーフパンツを着用することも多く、とてもスタイルが良くて羨ましい!Punk選手も独特のオーラを纏っていて、とても魅力的な選手です。一進一退の攻防を繰り広げるも、圧倒的な反応速度を誇るPunk選手に軍配が上がりました。
同じくルーザーズTOP8のもう一試合は、覆面女子プロレスラーの「レインボー・ミカ」を操るふ~ど選手と、悪役プロレスラーのような風貌の「バーディー」を操るクラッシャー選手との重量級対決。ふ~ど選手はクラッシャー選手に対し、終始ペースを掴ませない安定した試合運びで勝利を収めました。

続いて行われたのは、ルーザーズTOP8の第3試合。ウィナーズから転落したジョビン選手とOil King選手を倒して勝ち上がったPunk選手の対戦。ジョビン選手にとっては初めてとも言える大舞台で世界トッププレイヤーのPunk選手との対戦は相当なプレッシャーもあったと思いますが、なんとフルセットにもつれ込む大接戦。会場内の誰もが「起こるか?ジャイアントキリング!」と期待したのではないでしょうか?結果軍配はPunk選手にあがりましたが、ゲムノシン的にはこの日一番興奮した試合となりました!ジョビン選手、ドラマをありがとうございます!

続いては、ウィナーズから転落したネモ選手と、クラッシャー選手との対決を制し、勝ち上がったふ~ど選手の対決。実力者同士のルーザーズTOP8、第4試合。フルセットにもつれ込む大接戦は、反応速度や駆け引きなど「人間性能」最強とも評されるふ~ど選手が勝利。見応えありすぎです!

ウィナーズサイドでは、ももち選手とパウウェル選手の準決勝が。この試合に勝利した選手が決勝戦に駒を進めるということで、両者譲らぬ接戦となりましたが、自力に勝るももち選手が勝利。このトーナメント一人目となる決勝戦の椅子に座りました。

そして注目のルーザーズ準決勝、ふ~ど選手とPunk選手の対戦。
ここまで唯一残ったPunk選手の活躍にも期待しましたが、ふ~ど選手が強い!ものすごい安定感でPunk選手をくだし、パウウェル選手とのルーザーズ決勝に進出しました。
それにしてもふ~ど選手のある種飄々とした佇まい、かっこいいです。

この時点で、トーナメントのTOP3が決定しました。
ウィナーズのももち選手、ルーザーズのパウウェル選手とふ~ど選手。いずれも日本人選手です。果たして「EVO Japan 2019」優勝の栄冠は誰の手に??手に汗握ります。

まず行われたのは、パウウェル選手とふ~ど選手の対戦。ここでもふ~ど選手の勢いは止まりません。パウウェル選手の攻撃を寄せ付けず圧倒し、ももち選手との決勝戦の椅子に座りました。

さあいよいよ、3日間にわたって開催された「EVO Japan 2019」もクライマックスです。
ももち選手の操る「コーリン」と、ふ~ど選手の「バーディ」。お互い一つのミスも許されない緊迫した戦いとなりました!
ルーザーズサイドから勝ち上がってきたふ~ど選手が一試合を制し、これでカウントリセット(ダブルエリミネーション方式の特徴ですね)。試合の流れは完全にふ~ど選手に傾いたかと思われましたが、ここでももち選手が息を吹き返し、ももち選手らしい冷静かつ緻密な試合運びで勝利!
「EVO Japan 2019」の『ストリートファイターV アーケードエディション』部門を制しました!

ももち選手は「ふ~ど選手がとても強く、劣勢だと感じていたが、自分のやってきた練習を信じて優勝することができた。とても嬉しい勝利です。『ストリートファイター』の魅力は格闘ゲーム好きからそうでない人まで知られている、強い相手も多く、倒したい相手も多い。自分にとってやりがいのあるゲームです。賞金150万円については、普段から迷惑をかけている妻のチョコ(チョコブランカ)に何か買ってあげたい。」と語りました。

そしてなんと、表彰式には日本にも馴染み深く、ゲーム好きとしても知られるプロレスラーのケニー・オメガ氏が登壇し、会場を大いに沸かせましたよ!

自ら賞金を渡したケニー氏(左)

それにしても最後まで、息をする間もないほどの熱戦が続き、トーナメントが終わる頃には喉がカラカラ。お腹もペコペコになっていました。
格闘ゲームの奥深さと、必死で戦う選手たちの情熱、そして会場で応援する観客の熱量にあてられっぱなしの素晴らしい大会に参加することができて本当に良かったです。

このレポートを通じて、格闘ゲームの祭典「EVO」のことと、eスポーツの魅力が少しでも皆さんに伝えられたなら幸いです!